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福山市における路線バス関係事業費の推移

一昨日、当ブログに掲載しましたとおり、福山市の統計書を調べた結果、乗用車(特に軽四輪乗用車)の普及が進み、路線バス利用者が減り続けている状況が明らかとなりましたので、路線バス事業者において不採算となった路線について、市がその運行維持を図るべく事業者へ交付する欠損額補填の補助額などが年々増しているのではないかと思われ、市の財政資料に記載される路線バス関係事業費の推移も調べてみることとしました。
福山市におけるバス路線運行維持対策事業費・利用促進対策費等の推移表【クリックで大きく表示】
この表は、地方自治法第233条第5項の規定により、市長が前会計年度決算の審議・承認を受けるため毎年11月に市議会へ提出する『主要な施策の成果等説明書』(以下、決算説明書と略記)から、市が路線バスの運行維持や利用促進を図るために支出したと認められる金額を抽出しまとめたものです。
そして、この表にまとめた各事業費などの推移をグラフで表すと次のとおりです。

福山市におけるバス路線運行維持対策事業費・利用促進対策費等の推移グラフ【クリックで大きく表示】

年々増え続ける路線バス関係事業費

市の決算説明書においては、上図に青色黄色で事業費の推移を示した「地方バス路線運行維持対策事業費補助」について、2001年度までは第2種・第3種生活路線維持事業、廃止路線代替バス運行等事業(旧21条バス)、バス路線運行事業(旧80条バス)の3区分ごとの金額と合計額が記載されており、2002年度からは広域生活路線維持事業、市内生活路線維持事業、委託生活路線維持事業に再編・改称され、同じく3区分ごとの金額と合計額が記載されています。

このたびの井笠鉄道事業廃止に係る中国バスへの代替運行委託で明らかとなったとおり、市が井笠鉄道に交付していた補助額が年間2500万円(1月あたり約208万円)だったところ、代替運行(10系統廃止および大幅な減便での運行)を担う中国バスに対しては5か月で5000万円(1月あたり1000万円)も支出すると伝えられており(中国新聞記事)、増え続けてきたと認められるその補助額も、井笠鉄道にとっては、不採算路線の欠損額が十分に補填されるものではなかったのかもしれません。

かと言って、一民間事業者である路線バス事業者の経営を支えるために補助金などが支出され続ける状況は好ましいとは言えず、今後も路線バス=公共交通との位置付けで補助金あるいは代替運行委託料を支出し続けるのであれば、例えば、備北交通(庄原市)がホームページにおいて、どの運行路線に対し補助を受けているか公表しているように、今後、福山市においても、市や各事業者のホームページなどにおいて、補助や委託の対象となっている路線とその金額を市民に明示し、路線バスの利用を促すとともに、どの路線が廃止の危機に瀕しているのかを周知する努力が求められます。

上図に緑色で示した「その他の助成費・整備費」は、上表内に付記のとおり、1998年度のものは低床バス購入費補助、1999年度のものは内港路線バス設備費補助、2011年度のものは福山駅前バス案内所整備費です。

1998年度の補助で購入された低床バスとは、1999年2月10日に中国バスと井笠鉄道で共同運行が開始された福山市内病院循環線(国立病院〜福山駅〜市民病院,路線廃止済)用に、共通の外装で両社に1台ずつ導入された大型ノンステップバス・いすゞKC-LV832Lキュービックと認められます。
バスファンから国産ノンステップバス史上最悪の出来(特にドイツ・ZF製のATが)とも言われるこの車両は、全国どの導入事業者においても車齢短く、井笠鉄道のZ9803は2009年末の車検切れをもって使用中止、中国バスのI9809も今秋ついに抹消されました。

そして、1999年度の補助で同年開業のポートプラザ日化(入船町)の敷地南西隅部に整備された内港バスセンターは、後述する中心部循環路線“まわローズ”の利用低迷で今年3月に運行ルートと停留所が一部変更されたことに伴い廃止され、短命な車両の購入とバスセンターの整備に交付された補助金は無駄なものだったと認めざるをえません。

上図に赤色で示した「生活バス交通利用促進対策費」について、福山市の各会計年度の一般会計当初予算書と決算説明書に記載される細目ごとの金額と合計額をまとめたものが次表です。
2006年度より支出されているこの利用促進対策費は、2008年1月30日に国からオムニバスタウンの指定を受け、2008年度から今年度までの5か年計画で実施されている「オムニバスタウン事業」に係る費用と認められます。
福山市におけるオムニバスタウン事業費の推移表【クリックで大きく表示】
国庫補助金が交付されるこの事業開始に向け準備が始まった2006年度の当初予算編成時期にあたる2005年度後半以降、第44回衆議院議員総選挙(2005年9月11日執行,いわゆる郵政選挙)において広島県第7区(=福山市域)で3期目の当選を果たした与党所属の道路族議員(現在 参議院議員)が党の国土交通部会長の任にあったことから、この国会議員の働きかけにより、オムニバスタウン指定に向けた準備・計画が進められ、指定申請(2008年1月15日)からわずか2週間という異例の速さで指定を受けることができたとする見方もあります。

なお、国の「オムニバスタウン整備総合対策事業」は、1997年5月に旧運輸省・旧建設省・警察庁の連携で創設された補助制度で、静岡県浜松市(同年12月指定)を皮切りに全国14都市が指定を受けていますが、現状、福山市の指定が最後で、指定都市において持ち回りで開催されてきた「全国オムニバスサミット」も、2009年10月29日に福山市で開催された8回目を最後に開催されていません。

福山市のオムニバスタウン事業の失策ぶりは、その事業期間中に路線バス事業者1社が経営破綻したということで、どなたにも認識されるところと思われますが、特に2009年2月から3社共同運行で始まった中心部循環路線“まわローズ”の“空気バス”ぶりはひどく、全国の都市において中心部循環路線の苦戦が伝えられる中、過去の実証運行において地吹町の老人大学経由を望む声が高齢者などからあったにも関わらず、そこは通らずに、駐車場を備える商業施設・文化施設を経由するルートでの運行を3社に開始させたがために、開始後3か月の時点ですでに読売新聞の記事で指摘されているとおり利用は低迷し、また、市議会の同年第4回(6月)定例会において“路線や停留所の見直しをせよ”と議員から指摘(議員質問市長答弁 Media Playerで再生)があったにも関わらず、開始当初の運行ルート・停留所に固執し続け、今年3月の運行ルートと停留所の一部変更も軽微に留めるなど、市のオムニバスタウン事業の施策が、かえって路線バス事業者の収益を悪化させているものと考えられます。

このことは、一昨日も掲載した下図に現れており、2009・10年度の路線バスの走行キロ数が“まわローズ”の運行開始などで2008年度に比べ100万km増加している一方、乗車人員は増えるどころか減っており、市のオムニバスタウン事業は市民の役に立っていないと結論づけるよりほかありません。
乗合バスの語源である“オムニバス”には、たしか「何の御用にでも役立つ」という意味があるはずですが…
福山市における路線バス運輸状況の推移グラフ(走行キロ数・乗車人員総数・定期券利用者の推移)【クリックで大きく表示】

福山市における路線バス関係事業費としては、上表記載のものの他に、福山駅前地下送迎場建設(事業費約24億円)に伴うバス・タクシー乗降場の整備費(都市計画費の街路事業費に属する)も挙げられ、その整備費として2011年度だけで約3億8375万円(うち国庫補助金1億8653万円)が支出されておりますが、今年3月に運用開始されたバスのりばにおいては、乗降バースに設置の上屋の柱とガードパイプの支柱が、プラットフォーム側面からわずか約40cmしか離れておらず、バスが乗降バースを発着する際に前後のオーバーハングがそれに接触する恐れがあると運転手から酷評されており、またそれゆえにプラットフォームぎりぎりにバスが停車せず、ノンステップバスにノンステップで乗ることができないバスのりばと利用者からも酷評されており、バスの構造や動きを理解していない素人設計によりつくられた使い勝手が悪いバスのりばとの烙印を押されています。

みなさまがお住まいの市町村では、福山市と同じ轍を踏まれませんように…
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